| 糖尿病のごく初期の徴候があるだけでも心疾患による死亡リスクが増大することが、オーストラリアの研究で示された。まだ糖尿病と診断されていなくても、合併症の危険にさらされている人が多数存在することになる。 米国では約2,000万人が2型糖尿病に罹患しており、600万人がそのことに気付いていないという。5,600万人以上が「プレ糖尿病(pre-diabetes: 糖尿病前症)」と呼ばれる段階にあり、健康な状態と糖尿病の中間にあたる耐糖能異常(IGT)をもつ。2型糖尿病は、体が十分なインスリンを産生しないか、あるいは細胞がインスリンに反応しない状態で、この状態が続くと、目、腎臓、神経および心臓にも障害が起こる。糖尿病が心血管疾患リスクや早期死亡リスクを増大させることはよく知られているが、軽度の血糖値上昇と心血管疾患リスクとの関係はこれまで明確にされていなかった。 米医学誌「Circulation」6月19日号で報告された今回の研究は、国際糖尿病研究所(メルボルン)のElizabeth Bar氏らによるもの。研究グループは、オーストラリアの「糖尿病、肥満、生活習慣研究(AusDiab)」に参加した1万429人を5年間追跡。試験開始時に全参加者の経口耐糖能試験を実施し、コレステロール値、トリグリセリド(TG)値を測定した。5年後、糖尿病の人は心疾患により死亡するリスクが健康な人の2.6倍、空腹時血糖値に異常のあった人(「プレ糖尿病」とされる)では2.5倍であり、糖尿病とプレ糖尿病だった人は、心疾患での死亡全体の3分の2を占めていた。 専門家らは、この知見を極めて重要な警鐘と受け止めている。今回の研究が過去の研究結果をさらに強く裏付けるもので、血管疾患の危険因子の管理にこれまで以上に力を入れ、運動や適切な食生活を推進する必要があるという意見や、単に耐糖能異常だけの人も、危険因子としての糖尿病の重要性をより強く認識する必要がある、などの意見が出されている。 しかし、プレ糖尿病をどう治療するか、また治療すべきかどうかの点は明らかになっていない。今回の研究は治療に着目したものではないため、少なくともこの研究からは、プレ糖尿病患者の心疾患リスクが健康な人と同程度にまで戻ることがあるのかどうかはわからないという意見もある。 |
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