| 騒音は単に煩わしいだけではなく、心臓発作のリスクを高める。心臓発作のリスクは、環境や職場での騒音による生理学的影響によって高くなることが、ドイツの研究者らによる研究で明らかにされ、医学誌「European Heart Journal」オンライン版11月24日号に掲載された。 ドイツ、Charite大学医療センター(ベルリン)社会医学?疫学?保健経済研究所所長のStefan Willich博士らは、心臓発作を来した患者2,000例と、それ以外の理由で外傷病棟や一般外科病棟に入院した患者2,000例のデータを比較した。その結果、交通などによる環境騒音にさらされていると、心臓発作のリスクが女性で3倍、男性でほぼ1.5倍となることがわかった。一方、職場での騒音による同リスクの増大は男性で約1.3倍であり、女性では差は認められなかった。 騒音と心臓発作の因果関係は、騒音により心理的ストレスや怒りが増大し、アドレナリンやノルアドレナリン値が上昇、そのことが血圧やコレステロール値の上昇をもたらし、心臓発作の原因となると考えられる。 Willich博士によれば、騒音のレベルが上がればリスクがどこまでも増大するわけではなく、健康に対して有害な影響を及ぼす閾値は60デシベルであり、これをピークとしてリスクは一定となるという。60デシベルとは大きな事務所での典型的な騒音レベルに相当する。Willich博士は「現在、騒音の閾値を85デシベルとしている国が多いが、今回の結果を踏まえると、75〜80デシベル程度まで下げる必要がある」と述べる。 米エール大学医学部内科職業医学准教授のPeter Rabinowitz博士は、騒音が現代の生活におけるストレスの多い環境条件を評価する一つの指標となると考えられるという。「環境および職場の騒音をいずれも抑えるために社会的に踏むべき段階はいくつもあるが、そのような措置を取ることが健康の有益性に対して重大な意味をもつことを踏まえ、その可能性を探ってゆくことが望ましい」との見解を示している。 一方、同大心臓病学教授のHarlan M. Krumholz博士は、今回の研究は重要な課題を扱ったものであるとした上で、「騒音が心臓発作の高リスクの原因となっているのか、またはこのような環境下にいることで、食事やストレス、肥満などその他の危険因子を受けやすくなっているのか、未だ疑問は残されている」と指摘する。 差し当ってWillich博士は、心疾患のリスクがあれば、長期にわたって騒音にさらされる環境を避ける努力をするよう勧めている。 |
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